企業におけるウェルビーイングの実現
ー従業員一人ひとりのために「働く」を変える―

Well-being

日本では、今後、少子高齢化に伴って生産年齢人口が減少し、労働力が不足することが予想されています。そのため、労働力の向上を目指し、長時間労働の解消、育児や介護との両立、賃金格差の是正などの「働き方改革」が進められています。 
ここ数年では、新型コロナウイルス感染拡大の影響もあり、私たちの働く環境や価値観は大きく変化しています。こうした中で、働く場所や時間、コミュニケーションの取り方など、「働き方」について考えることが増えたのではないかと思います。 

当社サイトのTOPページには、「デジタルの力でウェルビーイングを叶える未来」という言葉があります。 「ウェルビーイング(well-being) 」は、私たちが「働くこと」を考える上で、切り離せない言葉です。今回のコラムでは、企業におけるウェルビーイングの実現について、お伝えしたいと思います。 

目次  

  1. ウェルビーイング(well-being)とは? 
  2. 日本におけるウェルビーイングの状況 
  3. 当社がウェルビーイングを目指す理由 
  4. 当社の取り組み
  5. まとめ  

1. ウェルビーイング(well-being)とは? 

基本的な考え方

ウェルビーイングは、直訳すると「良く在ること」です。「健康」や「幸福」などと和訳されることが多いですが、単に体に悪いところがないというだけではなく、「身体的、精神的、社会的いずれにおいても良い状態」にあることを意味します。 

よく引き合いに出されるのが、世界保健機関(WHO)憲章の前文にあるフレーズです。 
(ここでは、Healthとは…となっています。)

Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity. 
健康とは、病気ではないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます。  

出典:https://japan-who.or.jp/about/who-what/charter/ 

例えば、「何の病気もなく元気に見える人が、実は職場での悩みを抱えており、毎日出勤するのが辛い」というのは、ウェルビーイングとは言えないのではないでしょうか。 
あるいは、「自分の仕事に対して、誰にも正当な評価をしてもらえない」といった状態も、疑問符が付きます。

さまざまな尺度

OECD (経済協力開発機構)によるBetter Life Index (BLI)は、11の分野(住宅、所得、雇用、社会的つながり、教育、環境、市民参画、健康、主観的幸福、安全、ワークライフバランス)における「より良い暮らし」の評価指標であり、OECD加盟国を中心とした40ヵ国を各項目で評価しています。 

出典:https://www.oecd.org/tokyo/statistics/aboutbli.htm 

個々のウェルビーイングの状態を測る指標については、PERMA(Positive Emotion: ポジティブ感情、 Engagement: エンゲージメント、Relationships: 他者との関わり、Meaning:意義、Accomplishment: 達成※)モデルなど、さまざまな観点や指標があります。 
いずれにおいても、元々計測が容易なものに加えて、「ウェルビーイング」を多角的に捉え、評価し、よりよい状態を目指していく、という動きがあります。 

出典:https://ppc.sas.upenn.edu/learn-more/perma-theory-well-being-and-perma-workshops 

※和訳は仮訳で、正式なものではありません。 

似た言葉や関連する概念

ウェルフェア(welfare)

ウェルフェア(welfare)は、ウェルビーイングと同じく「健康」「幸福」という意味を持ちますが、「福祉」「福利厚生」と訳され、行政や企業が個人の生活を守るために提供するものという意味で用いることの多い言葉です。

健康経営

経済産業省によると、「健康経営」とは、「従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践すること」です。働く人たちへの健康投資を行うことで、活力向上や生産性の向上等を目指し、それらを組織の活性化へつなげる目的で推進されています。 
従業員の身体的健康およびメンタルヘルス向上のため、経営理念や体制を整備し、従業員の健康状態を把握、必要な対策を講じるものです。

出典:https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_keiei.html 

QOL (Quality Of Life)

QOLは、Quality of Lifeの略で、「生活の質」などと訳されています。 
WHOは以下のように定義をしています。 

WHO defines Quality of Life as an individual's perception of their position in life in the context of the culture and value systems in which they live and in relation to their goals, expectations, standards and concerns. 
WHOは、Quality of Lifeを「一個人が生活する文化や価値観のなかで、目標や期待、基準、関心に関連した自分自身の人生の状況に対する認識」と定義しています。 

出典:https://www.who.int/tools/whoqol

ウェルビーイングを実現するために必要である住宅、収入など「物質的な生活条件」に加えて、個人が自身の状況をどう捉えているかということが重要であると言えます。 

2. 日本におけるウェルビーイングの状況

前述のOECDの指標を見てみると、「市民参画」や「ワークライフバランス」の観点で、他の国々と比較して評価が低くなっています。 
「市民参画」では、投票率の低さなどが影響し、ワークライフバランスでは、長時間労働や余暇時間の少なさが評価を下げているようです。 

また、男女とも平均寿命が長いにも関わらず「健康」における評価が低く、自らを健康だと考える人が少ないこと、「主観的幸福」といった指標も相対的にはあまり良い評価とは言えないことも、特徴的です。 

出典:https://www.oecdbetterlifeindex.org/countries/japan/ 

3. 当社がウェルビーイングを目指す理由

時代の流れや環境の変化といったこともありますが、当社がウェルビーイングを大切なこととして掲げる理由は、代表である大塚の強い思いがあります。 

なぜ「ウェルビーイング」を目指すのか

私は、前職では大手メーカーに勤務していました。毎日朝早く出社し、夜遅くに帰宅。時には空が白み始めるまで、仕事をしていました。 
一方、育児はすべて妻と妻の両親に任せ、子供の成長の過程を一つひとつ喜ぶ間もなく、気づけば息子が立って歩いていた、ということもありました。
家族を犠牲に仕事をしていると言われても仕方のない生活を送っていました。 

そのような中、同じように働いていた仲間が倒れて入院したり、心の病により退社を余儀なくされたりと、次々と会社を去るということが起こりました。
さらに、人が少なくなったことで、残された仲間たちへ仕事のしわ寄せが生じました。皆が仕事に忙殺されるようになり、また退職者が増えるという悪循環を数多く見てきました。 

他の企業においても同様のことが起こっていると耳にする中、この会社の社長に就任するチャンスを得ました。 
その時、「私がいやだったことは、この会社で働く人たちには絶対させない。中小企業から変えていく。」と決心しました。

働くことが自分や家族を蝕んでしまうような悪循環を断ち切るためには、ウェルビーイングという考え方が不可欠です。 
ウェルビーイングを目指し、家族との時間、趣味の時間、自己能力開発の時間、友人との時間を十分に確保することが、良好な職場環境づくりや生産性の高い仕事に繋がります。そして、そのことがまた、十分なプライベートの時間を作るという好循環を生むのです。

4. 当社の取り組み

上記のような課題を目の前にして、業種や企業規模を問わず、さまざまな取り組みが行われています。
当社では、主に次のような取り組みを行っています。

「残業ゼロ」を基本とする

長時間労働は、慢性化すると集中力の低下などから業務効率が悪くなるだけではなく、心身の健康に影響を及ぼします。 
「業務は時間内に終わらせることが当り前」とし、社外のイベントなど特別な事情がある場合を除いて、残業はしないことが基本です。 
”残業ゼロ”を実現させるために、毎日の進捗管理にて業務分担などの調整をこまめに行い、各自の業務時間が最大限に活用できるようにしています。 

勤務場所・時間に囚われない柔軟な働き方

お客様のご理解をいただきながら、遠隔でコミュニケーションを取るためにWeb会議・チャット・タスク管理などでツールを活用し、テレワークができるようにしています。 
テレワークが増えるとコミュニケーションが減るという課題もありますが、毎日の朝会、月に一度の意見交換会(Web飲み会)などの機会を設け、コミュニケーションを図っています。 
また、子育てや介護の間は仕事ができない日、時間がイレギュラーに発生しがちですが、ひと月のうち必要な業務時間を確保していれば、途中で仕事を抜けることも可能です。 

従業員のやりたいことを実現するための仕組み

当社では、仕事、プライベートを問わず、個々の従業員のやりたいことを尊重しています。 
仕事においては、やりたいこと、なりたい将来像を実現するために、目標を設定し、スキルアップを計画的に行います。 
月1回の「5Sの日」では、身の回りの整理整頓などを行い、働く環境を整えますが、環境が整った後は、自己研鑽の時間に使います。 
そうした時間を含めて、スキルを向上させ、自らの望む形でお客様のお役に立てることで、やりがいを醸成していく、という取り組みです。 

ウェルビーイングの形は、本来一人ひとり異なるものです。
これらの取り組みは、今後事業を進めていく中で、改善・拡充し続けていきます。 

5.まとめ

これまで述べてきた事柄について、まとめると以下の通りになります。  

まとめ

  • ウェルビーイングは、直訳すると「良く在ること」。単に体に悪いところがないというだけではなく、「身体的、精神的、社会的いずれにおいても良い状態」にあること。 
  • OECD (経済協力開発機構)によるBetter Life Index (BLI)は、11の分野(住宅、所得、雇用、社会的つながり、教育、環境、市民参画、健康、主観的幸福、安全、ワークライフバランス)における「より良い暮らし」の評価指標 
  • 日本のBLIは「ワークライフバランス」「健康」「主観的幸福」をいった観点で見ると、評価が低い。 
  • 当社のウェルビーイング実現のための取り組みは、残業ゼロ、勤務場所・勤務時間に囚われない柔軟な働き方、従業員のやりたいこを実現するための仕組み。 

今回のコラムでは、従業員のウェルビーイングを取り上げましたが、代表メッセージにもある通り、
当社は、事業を行う上で、お客様にとっての「ウェルビーイング=良く在ること」とは何なのか?という問いを軸にご提案をさせていただいております。
事業に関心を持っていただいた方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。