DXによる業務効率化とデータ活用
― “使える”データにするには?―

「DXと言うが、何をしたら良いのか」「デジタルツールを導入しても使いこなせるようになるのか」…
など、多くの企業がデジタルにまつわる取り組みに苦慮しています。

ここでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)が従来のシステム化と何が違うのか?DXの推進
により副次的な効果として得られるデータを扱う際、留意すべき点について整理したいと思います。

データ分析

目次
1. DXとシステム化の違い
2. DXによって得られるデータ
3. データを使うということ
 (1) 取れたデータと取りたいデータは違うことがある
 (2) どこからデータを取るか
    ①社内データ、社外データ(②オープンデータ・③購入データ)
 (3) データを扱うときに注意すべきこと
4. まとめ

1. DXとシステム化の違い

DXというキーワードは2010年代後半に登場しました。特に2018年後半からは新聞や雑誌などの紙面で頻繁に取り上げられ、DXに関する多くの書籍が発売されています。
このように注目が集まった背景には、2018年に公表されたDXレポートがあると言われています。このレポートは経済産業省が公表したもので、「2025年の崖」と称してDXを推進しないことによる弊害・損失の可能性を示唆しています。

さらに、2020年12月にはDXレポート2が公表されており、コロナ禍によるDX推進への影響やデジタル企業となるべく企業が起こすべきアクションがまとめられています。

DXレポート2のサマリー(企業のアクションと政策)

出典:「DXレポート2(サマリー)」(経済産業省)
https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004-1.pdf

2020年の第2版のレポートでは、DXについての定義が下記のように掲載されています。

DXの定義
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会の
ニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、
プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』

さらに、第2版では企業の目指すべき方向性を下記のように表現しています。

企業の目指すべき方向性
『企業が競争上の優位性を確立するには、常に変化する顧客・社会の課題をとらえ、「素早く」変革「し続ける」能力を身に付けること、その中では ITシステムのみならず企業文化(固定観念)を変革することが重要

第1版・第2版のレポートで共通していることは、DXはただ製品やサービスを導入するのではなく、業務や企業文化そのものを変えていく試みであることを明文化していることです。この業務や企業文化の変革こそが、システム化とDXの違いと言えます。

従来、企業ではシステム化を通じて業務の効率化を図ってきました。システム化は、多くの人員によって構成された業務をシステムに代替させることを目的として実施されてきました。そのため、データをやり取りする際の相手が人からシステムに変わる変化はあったものの、システム導入に合わせて業務や企業文化を抜本的に変える、ということはそう多くはなかったのが現状です。

一方、DXでは、デジタルツールの導入と合わせて、従来から実践してきた業務や手法に囚われない業務への変革も促しています。
例えば、今までは電話で連携していた受発注の連絡をメールやチャットを利用して相手方がいない場合でも連絡がつくようにする、備品などの在庫を人が確認していたところを自動検知して発注して常に在庫不足にならないようにする等、ツール導入に合わせた業務プロセスの変革も行っています。
このように業務プロセスも含めた変革がDXであるといえます。

2.DXによって得られるデータ

DXに関するツールや製品は市場に多く出回っており、それらは現業の効率化によるコストダウンや、新たなツールを活用することによる収益増加など、実現する効果が明確です。
コロナ禍前後で大きく変わった製品群の一つにオンライン会議ツールがあります。オンライン会議ツールの市場規模は毎年約30%増加していると言われており、2023年にはコロナ前の2019年と比べて3倍になるといわれています。
また、同様にビジネスチャットツールも年平均成長率は21.9%、2023年には2019年と比べて3倍になるといわれています。

これらのデジタルツールを導入した結果、副次的な効果として得られるものが“データ”です。
例えば、オンライン会議ツールの録画機能による動画の保存や、ビジネスチャットツールでのやり取りのデータ保存など、従来の対面での会話では残しにくかった情報をデータで取得することが可能になっています。(※なお、ここでは、データの利用に関する許諾を得た上での取得を前提としています。)
このように、DXのツール導入の目的とは関係なく、デジタルデータが発生しており、且つそれらがシステムで処理して分析することが容易な形である点もDX導入によって得られる大きな効果の一つです。

デジタルツール導入だけではなく、これらのデジタルデータのような新たな財産を入手できる点がDXに取り組むことで得られるメリットです。しかし、デジタルツールの導入だけでは、それらのデータは発生してもどこかに立ち消えてしまいます。 では、デジタルデータを使えるようにするためには何をしたらよいのでしょうか。それは、デジタルデータを溜め、使えるように補正し、データを可視化するための環境を作ることです。これらの環境を用意するためのツールも様々な製品が用意されています。極力コストをかけずに環境を整備し、データ活用の取り組みを開始することが可能になっています。

3.データを使うということ

(1) 取れたデータと取りたいデータは違うことがある

2.で得られたデジタルデータを溜め・使おうとした時にぶつかる課題の一つに『取れたデータと取りたいデータが違う』ということがあります。

今、手元にあるデータは他の業務で利用したデジタルツールで偶然得られたデータであり、その業務を実践するためには最適な形になっています。しかし、データを使う(可視化する・分析する)といったケースで最適ではない可能性があります。そのため、データを使うという観点で、改めてデータを見つめなおし、他のデータとくっつけたり、任意の基準でデータをそろえたり、データを加工したりする必要があります。これらの作業をデータ活用の前処理などと表現します。手元に使えそうなデータがあっても、それは使える状態にはない、ということです。

では、何をするかというと、主に クレンジング 結合 名寄せ と呼ばれる処理をします。さらに、
これらの処理をするために手元にあるデータ以外のデータを要することがあります。

(2) どこからデータを取るか
   ①社内データ、社外データ(②オープンデータ・③購入データ)

手元にあるデータ以外にもデータが必要な場合、それはどんなデータで、どこから入手できるかを整理します。入手先は大きく3つで、①社内、②オープンデータなどを配布している行政、③データを販売している事業者からの購入です。これらのどこからもデータが入手できない場合は、自社でデータを集める仕組みの検討などが必要です。

また、昨今急激に増えているのは非構造データであると言われています。今までのデータ活用では構造化データ(表形式のデータ)が主でしたが、半構造化データや非構造化データの量が増え、それらのデータを活用する機会が増えています。半構造化・非構造化データはデータの発生源が構造化データと異なることがあり、取得元によって必要な前処理などが変わってくるため、どこからデータを取得するか、は重要な検討事項と言えます。

総務省 ICTスキル総合習得教材 3-1 P.9

出典:「ICTスキル総合習得プログラム 講座3-1」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/ict_skill/pdf/ict_skill_3_1.pdf

(3) データを扱うときに注意すべきこと

データを取得する際には、そのデータを公表している企業・団体の利用規約や個人情報であれば個人からの許諾が必要となります。そのデータは誰のもので、何の目的で使うのか、更には使った結果をどのようにサービスとして提供するのか、データを使った結果のメリットを誰が享受するか、を含めて検討することが必要です。

また、法律上は問題がなかったとしても、データ提供者・サービス利用者からの訴えでサービス提供が問題となるケースもあります。他社やお客様が収集・提供してくれたデータを使ったサービスは、サービス設計の段階でもよく考慮していくことを推奨します。

4. まとめ

課題解決イメージ

まとめ

これまで述べてきた事柄について、まとめると以下の通りになります。

  • 従来のシステム化とは異なり、DXでは、業務や企業文化の変革が求められる。
  • デジタルツールの導入に伴い、活用できるデジタルデータが得られるようになる。
  • データ活用のためには、データを使える状態にすることが必要である。
  • データを集める必要がある時は、どのデータをどこから入手するのかを明確にする必要がある。
  • データを取得するには、許諾が必要な場合があるため注意するとともに、
  • どのような目的でどのように提供するのか、など詳細を十分に検討しなければならない

データは、企業にとって財産になりますが、データ活用の実現には、乗り越えなければならない壁がいくつかあります。

データ活用の進め方などについて、当社がお手伝いできることもあります。なるべくコストをかけずに、中小企業の皆様が課題を解決できるような方法を一緒に考える、というのが、当社の方針です。
まずは、気軽にお問い合わせください。